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染み付いた虹、見せ掛けの城
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何とか書いた。
書いたけど、うーん・・・・・・話の流れが乱雑で、書き直したい気分。
来年サイトを立ち上げる際には、リライトして掲載します(笑
ただ、褒めてほしいのは、これケータイで書いたんだぜ!?(主張が意味不明
すみません、完成度低いのをごまかしたいだけです(涙

というわけで、君って中学生? な11が登場するCP小説? な小説を読みたいという物好きな方(←読んでくださる方に土下座しろ)は、右下からどうぞ~

ちなみに、約3000字。ちょっと短め?

******

一度上げてから読んでみた。
うう、全然CPじゃない・・・・・・精進しますorz




Please smile


 少し肌寒く、しっとりと水分を纏った大気が、秋から冬への移り変わりを感じさせた。木々も徐々にその葉を落とし始め、夏の間隠されていた幹や枝が、その間から覗く。
 十一月初旬、太陽が地平線に完全に没した頃、私は初台にいた。駐車場に愛車を停め、警視庁庁舎の前で人を待っている。連絡先は知っていたが、あえて受付を通して呼び出してもらった。彼女はさぞ迷惑だったに違いない。
 庁舎のドアが開く。出て来たのは、水色のワイシャツとタイトな紺色のスーツを几帳面に着こなした女性。
 私の待ち人、霧原未咲だった。
 いつものように眉間に皺を寄せながら、私の顔を見て更にその皺を深くする。
「そのご様子だと、そこまで急用というわけではなさそうですね」
 よほど間の抜けた顔をしていたのだろうか、未咲はやはり面倒そうに一言漏らした。
「わざわざ受付を通して私を呼び出した理由、聞かせていただけますか」
「気分ですよ」
「きぶ――」
 ジョークのつもりだったが、通用していないらしい、言葉を失った未咲。内心ではどう思っているのだろう。『なんと面倒な奴だ』あるいは、呆れて思考が停止しているかもしれない。
「冗談ですよ。ミサキがある程度他の皆さんに理由を付けて外に出られる合理的な方法を試したまでです」
 更に、気まぐれなどという非合理的な行動を、契約者はするはずがないことを付け加える。
「では、どうして呼び出したりしたのですか?」
 我に還った未咲は、私に最初と同じような問いを繰り返した。私は率直に答える。
「ディナーをご一緒に、と思いまして」
「ディナー……ですか?」
「ええ」
「どうして急に?」
 私は、その問いに対する合理的な回答を、持ち合わせていなかった。
「――気分です」
 未咲は頭を抱えたが、じきに「わかりました」と一言、私の申し出に一つ条件を出して承諾した。
「ただし、店は私に決めさせてください」

 そうして着いた先は、あるビルの上層階にある焼肉店だった。
「ここ、ですか?」
「ええ、よく来るんです」
 ウェイターが、私たちを窓際の席に案内した。ガラス窓が大きく、外のきらびやかなネオンが見える。喧騒は遮られており、どことなく、その光景は現実離れしているようにも思われる。
 焦点を変えると、窓ガラスは鏡に変貌した。私の向かいで既にメニューの選定に入っている未咲の表情が映り込む。私は鏡の未咲から実際の未咲に視点を移す。事件のときと同じような、真剣そのものの顔付き。いや、むしろ、私の見たことのない、無垢な少女の表情。
「……何でしょう」
 私の視線が気になったようで、未咲は顔を上げた。訝しむ表情。眉間に皺が入る。
「いえ、何でも」
 私が意地悪く答えると、未咲はやりにくそうに視線をメニューに戻した。
「こういった店は初めてでよく分からないのですが、どういうオーダーがオーソドックスなんです?」
「基本的には、焼き物にご飯が一般的だと思います」
 私はメニューを見ながら未咲に訊いた。カルビ、ロース、タン、等々、見慣れない名前が並ぶ。どのような物が出て来るのか、見当が付かない。
「ミサキ、好きな物は?」
 未咲は少し考えるようにメニューを見る。
「――ハラミです」
「じゃあ、私はそれとライスにしましょう」
 未咲も注文を決めたようだ。ウェイターを呼んで、注文を取ってもらった。私はさっきのメニューにサラダとオレンジジュースを付けて。未咲は肉類を三種類、ライスとサラダと烏龍茶。
 ウェイターが行くと、未咲がおもむろに口を開いた。
「あなたが二人目です」
「というと……」
「勤務中の私を夕食に連れていこうなどと考える人は、あなたともう一人しかいません」
「――その方はどなたです?」
「父です」
 いきなり何を言うのかと思えば。恋人でもいるのかとヒヤヒヤした。
 ヒヤヒヤした?
 なぜヒヤヒヤする必要があるのだろう。
 ぼんやりと考えるが、疑問は心の中で攪拌され、もはや原型を留めていない。
 そのうちに、テーブルの上には、サラダ、肉、ライスと並んでいく。未咲が網に自分の分を載せていくと、食欲をそそる音と香り。掴みそこねた疑問が若干のわだかまりを残したが、ともかくも、今は未咲との食事を楽しむことに専心することにした。
「これ、焦げかけていますよ」
 私は自分の分のハラミを焼きながら、彼女のテリトリーにあるウェルダンすぎるハラミを自分の口に持って行った。
「それあたしの――!」
 友人との食事でのやり取りが思わず出てしまったのだろう。未咲は顔を真っ赤に染めて「すみません」と俯いた。彼女の子供っぽい一面が見れたのが嬉しくて、少し意地悪をしてみたい気分になった。
「いえ、気にしなくて結構ですよ。取ったのは事実です」
「しかし――」
「じゃ、こうしましょう」
 私は自分のハラミを箸でつまむと、未咲のほうへ。
「あの、これは」
「どうぞ食べてください。食べさせてあげます」
 未咲はまた別の意味で真っ赤になる。
「や、やめてください!」
「そうですか?」
 私はその肉を自分で食べた。
「うん、デリシャス」
「もう……恥ずかしいので、そういうからかい方はよしてください」
「善処しましょう」
「必ず対処してください」
「極力努めます」
「やめるつもりがあるんですか?」
「実を言うと、あまり」
 私たちは、少しおかしくなって、互いに笑いあった。
「消えましたね」
 私はひとしきり笑ってから言う。未咲はきょとんとして首を傾げた。
「何がです?」
「眉間の皺です」
 未咲は眉間に手をやる。
「ミサキは働きすぎです。少しは怠けることを覚えたほうが良い」
「そうでしょうか……?」
「毎回全力投球では、いつかエネルギーが切れてしまいます。あなたにエネルギー切れされたら困る人が沢山いるのですから、勤務中でも少し心を休める時間を作るべきです」
 ずっと気になっていた。彼女がリラックスしている瞬間を、私は一度も見たことがなかった。無論、私の前だから気を休めない、ということもあるだろう。しかし、ずっと眉間に皺を寄せられていては、なにか重大事を抱えているのではないかと、ひどく心配になってしまうのだ。
「今日はあなたの笑顔が見れて良かった」
 いつもは、レディへの、上辺だけの挨拶で使っていた言葉。それが抵抗なく、心から自然と湧き上がる。
「――ありがとうございます」
 未咲は、照れているのを隠すようなそぶりで、そう言った。

「じゃあ、食べましょう。まだ食事は始まったばかりなんですから」
「あの……追加を頼んでも良いでしょうか?」
「え? ええ、どうぞ」
 彼女はウェイターを呼んで、何か頼んでいる。オーダーにかかる時間が、少しばかり長い気がした。少ししてオーダーが届いて、私は目を疑った。
「……そんなに……食べるんですか?」
「ええ」
 皿は三枚だった。計六枚というだけで、充分過ぎるほど多い。だが、その三枚には、普通盛られている三、四倍はあった。結局何人前食べているのだろう。
「どうしたんですか?」
「いえ、何でも……」
 彼女の口に、次々と肉が消えていく。
 幸せそうな表情。
 その顔を見ているうちに、自分まで心が落ち着いていくようだった。
 ふと、今キスをしたら焼肉の匂いがしそうで嫌だ、と思う。また、なぜそんな発想が出て来たのだろう。不可解だが、そんなことはどうでもいい。

 彼女のしかめっ面以外の表情が見れた。

 ただそれだけで、私は良かった。
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